ある日の昼休み、若手社員のM子ちゃんが、通販カタログを熱心に読んでいます。社内でも通販オタクで有名なM子ちゃん。今度は何を買おうとしているのでしょうか。
「ベビー布団セットを買ってみようかなって。ほら、これいいですよね。羽毛の掛け布団だって!」
一瞬、凍り付く社内。M子ちゃん…あなた確か未婚だったはずでは…?
「違いますよぉ。私じゃありませんよ。お祝いです、お祝い!友達が今年の末に出産するんです。それでこの羽毛布団なんかいいかなって思って。年末出産だからちょうど冬だし、あったかい布団、必要ですよね?」
ああ、なるほど。そういうことか。もービックリさせないでね。でも私を含め、既婚、子持ちのみんなは、M子ちゃんのその思い付きになんだかビミョーな表情…。
というわけで、なぜビミョーなのかを、M子ちゃんに説明してみることにしました。
ベビー布団セットのなかみ
M子ちゃんがお祝いに、と考えたベビー布団セットとは、赤ちゃん用の掛布団、敷布団がセットになっている商品のことです。価格はセット内容にもよりますが、だいたい標準6点セットで1万円前後というところです。
ちなみにセット内容は6点セットで下記のとおり。
- 掛布団カバー
- 掛布団
- 敷布団用シーツ
- 敷布団
- まくら本体
- まくらカバー
これが10点セットとなると、寝具のズレ防止用のフィッティングシーツや、おねしょ用の防水シート、汗取りパッドなどが加わります。ここまで揃えると、完璧すぎるラインナップです。
どうせ使うものなら、単品で買うよりセットのほうが値段的にもお得、と考えれば、確かにベビー布団セットはオススメ商品かもしれません。
さらにM子ちゃんは、冬生まれの赤ちゃんのために羽毛布団のセットにして、寒い冬を乗り切ってもらおう、と考えているようです。
でも待って。ベビー布団って、本当に必要なのでしょうか。
赤ちゃんは汗っかき
ベビー布団の必要性について、ウチの社内に限って言えば、賛否両論でした。というより、社内の子育て経験者のほとんどが「ベビー布団はあまり必要ない」という意見だったのです。
その理由としては、他のもので代用できる、添い寝をするから必要ない、の2点が圧倒的で、中には買うには買ったけどタンスの肥やしになってしまった、という人も。
M子ちゃんのお友達の場合のように、年末に生まれる赤ちゃんは、生まれてすぐ、真冬の寒さを迎えなければなりません。夜寝る時に暖かくしなければ、と思うのも親心というものです。
しかし、 乳幼児の体温は成人よりやや高く、また自分の体温を外的環境に適応させることができません。体温コントロールは、成長とともに体温が下がり始めて、初めて可能となるのです。
つまり、それまでは大人と同じ感覚で寒さを捉えない方が良い、ということになります。確かに生まれたての新生児は寒さに弱く、暖かくしてあげないといけないのですが、それも始めのうちだけ。2か月も経つと、暖かくし過ぎると、逆に大量に汗をかいてしまうことになります。
社内の子育て経験者も、真冬なのに赤ちゃんが掛け布団を蹴ってしまうので、タオルケットと肌毛布で充分だった、と言っています。
また、フリースのパジャマとスリーパーを着せておけば、掛け布団のようなゴツいものは必要ない、あとはおねしょモレ対策として防水シーツがあれば充分、という人も。
他にも、ブランケットでおくるみにしておけば布団はなくてもOKという人、添い寝をしてあげれば授乳の時も楽だし赤ちゃんも良く寝てくれたという人などなど、どれもあまりベビー布団を使わなかった話ばかりです。
もちろん住んでいる地域の気候、室内の温度、暖房をつけているか否か、などによって環境も変わってきます。一概にベビー布団が不必要、とは言えません。
ただ慌てて出産前に買わなくても大丈夫だ、ということなのです。まずは添い寝や家にあるタオルや座布団などで間に合わせておいて、必要だ、と思ったときに必要なものを購入すればいいのではないでしょうか。
おわりに
さて、子育て経験者たちの手厳しい意見に、自分のアイデアに酔いしれていたM子ちゃんはすっかり意気消沈です。でもそこでメゲないのが彼女のいい(?)ところ!
「なら、ベビー服にしよっかな~。このオーガニックコットンのやつとか、いいですよね」
と呟きつつ、しっかり自分の趣味で服を選び始めました。なんだか赤ちゃんの服を選んでいるのか、自分の服を選んでいるのか、よくわかりません(笑)
でも、お金を包めば一番無難なのに、いろんな人の意見を聞いて自分なりに相手が喜んでくれそうなものを選ぼうとしているM子ちゃんは、ホントいい子だな、と思いました。お友達も喜んでくれるといいですね。