満20歳の未成年者が契約を行う場合、親権者の
同意を得る必要があり、それなしに契約した場合は、
契約を無効にする事ができます。
これは、民法第5条にも、記されており、
契約を取り消されると、使用料や、損害賠償なども
払う必要は、ありません。
ただし、未成年だからと言って、どんな契約でも
解約できる、という訳ではありません。
ここでは、契約を取り消す為の、条件と、
疑問の多いケースについての、対応方法を
ご紹介します。
未成年者契約について
未成年者は、判断力が備わっていない、
制限行為能力者と見なされ、不利な契約を
結ばないよう、法律によって、保護されています。
よって、未成年者が契約をする場合には、
法定代理人(通常は両親)の同意が必要に
なります。
法定代理人の同意を得ないで、契約をした場合、
本人、または法定代理人が、取り消す事ができます。
本人が取り消す場合、代理人の同意は必要なく、
単独でできます。
契約の取り消しをした場合、契約は初めから
なかった事になります。
未成年者が受け取った商品などは、例えば、
化粧品のような消耗品の場合、残っていなければ、
返還する必要はありません。
ただし、以下の場合は、契約を取り消す事ができません。
- 結婚している場合
- 嘘をついて契約した場合
- お小遣い・仕送りでの買い物
- 追認があった場合
未成年者が結婚している場合、成人と見なされます。
例え、離婚していたとしても、婚姻の経験があれば、
同じ扱いとなります。
未成年なのに、成人と偽ったり、
親の同意を得ている、と嘘をついて
契約したとき。
法定代理人である親から「処分を許された財産」
すなわち、お小遣いや仕送りなどの、
その範囲内で買ったものは対象にはなりません。
普段の生活で、食料や雑誌などを購入する、
などの行為も、売る側と買う側での売買契約が
成立しています。
このような場合にまで、親の同意を求めていたら、
未成年者は、何もできなくなってしまいますよね。
法定代理人、または、成人した本人が、
追認した場合。
契約した当時は、未成年でも、20歳に達してから、
サービスや商品を受ける、代金を支払うなどした場合、
契約を認めている、と見なされます。
紹介した条件に当てはまる物が
なければ、取り消す事が可能です。
ただし、成人してから5年たつと、
時効になります。
このような場合はどうなる?
契約無効の条件は分かったけど、全ての契約に
当てはまるのでしょうか?
ケース毎にご紹介します。
未成年者同士のお金の貸し借り
未成年者同士、または、一方が未成年の場合に、
法定代理人の同意を得ずにお金の貸し借りを
した時、その行為を取り消す事ができます。
例え、借用書があったとしても、法定代理人の
同意がない場合は、取り消しが可能です。
契約を取り消されたとしても、借りた方は、
お金を返す義務があり、利益を受けた範囲で
返還するというように法律で決まっています。
ただし、遊びなどに全て使ってしまった場合、
現存利益がなく、返還を求めるのは不可能です。
なかなかお金を返してもらえず、借用書を作る場合、
本人、法定代理人、相手、相手の法定代理人の、
同意が必要です。
NHKとの契約
1人暮らしの学生さんで、多いのが、NHKの
契約は取り消せるのか?という疑問ではないでしょうか。
NHKの契約の方って、かなり強引に契約を
迫ってくるので、わけが分からないまま、契約を
してしまって、無効にしたいという方、多いです。
通常、契約するには、親の同意が必要です。
しかし、NHK側は、「親から処分を許された」
財産は、未成年者が自由に処分する事ができるので、
契約をする事ができる、と判断しています。
過去の判例で下記の物があります。
1ヶ月毎の支払いはお小遣いの範囲内でも、
支払いが2ヶ月以上に渡り、総額が、処分を許された
範囲内を超えている場合は、取り消しが可能というもの。
それを元に、NHKの解約が可能、と思っている方が
たくさんいるようですが、上記は、一度でも滞納すれば、
全額を支払わなければいけない場合です。
NHKでは、受信機を持たなければ、1ヶ月からの
解約が可能と、規約にも記載されており、
上記判例には当てはまらず、取り消す事はできません。
未成年者への契約に関して、民法で保護されているのに、
何だかおかしな感じですが、実際、契約の取り消しを
するのは、不可能だと思います。
ゲームやオークションでの高額利用
親が知らないうちに、子供が勝手に、
クレジットカードを使い、オンラインゲームで
高額な課金していた!というニュース、良く聞きますよね。
他にも、未成年が、オークションで
落札してしまった商品などはどうなるのでしょう?
確かに、未成年者の契約については、取り消す事が
できる、とされていますが、このような場合は、
状況によっても変わります。
そもそも、オークションなどは、18歳〜と、
年齢制限があるところが、殆どです。
そもそも、18歳未満の子供が、利用したとなると、
違反行為になりますし、親の監督不行き届き、と
見なされる事もあります。
クレジットカードも同様、規約にも、
カードの管理は厳重にする事、利用者の過失で
発生した損害は保証されない、など記載されています。
そのような事から、必ずしも、契約の無効が
受け入れられる、という保証はありません。
このような判断は、素人ではできないので、
弁護士に相談するのが一番だと思います。
最後に
以上、未成年の契約について、ご紹介しましたが、
いかがでしたでしょうか?
私の妹は、19歳の時に、知り合いに頼まれて、
高額の化粧品を、分割払いで購入してしまいました。
妹は、すぐに契約を無効にしようとしましたが、
言いくるめられてしまったんです。
それを知った母は、ものすごい剣幕で、
店に行き、その剣幕に、恐れをなした店員さんが、
すぐに取り消ししてくれたと、言っていました。
未成年の皆さん、契約する際は、必ず、
内容を確認して、親の同意を得てからに
しましょうね。